【600万を超える自己啓発への投資の先に得たものとは】「『自己啓発』は私を啓発しない」

書籍紹介

どんな本?

自己啓発セミナー、能力開発系商品に計600万円以上を費やしてきた、マグロ船に乗ったことで人生が変わったなど経験豊富?な元会社員が、自己啓発で体験されてきたことから起業をして軌道に乗るまでを赤裸々に告白するエッセイです。

総額150万の記憶力向上テープ、カルト的な自己啓発セミナー、異業種交流会でネットワークビジネスに嵌められた経験など、これでもかと地雷を踏んできた経験が余すことなく語られています。

タイトルこそ「『自己啓発』は私を啓発しない」ですが、参加して良かったと筆者が感じたイベント、講師から言われて今でも印象に残っている言葉などについても多く書かれています。

こんな人におすすめ

自己啓発に色々と手を出しながらも、これで本当に自分が変わるのだろうかと思っている方(私もそうです)は読んでみると学びがあると思います。

が、エッセイとしても面白く、かなり笑えるので楽しく本を読みたい方にもおすすめです。

印象に残ったポイント

流されて生きたっていい

筆者が自己啓発セミナーで知り合った仲間に連れられていった断食道場でのエピソードです。断食とは全く関係ないのですが、道場の最後に行われたお坊さんとの談話で、お坊さんがこんなことをおっしゃられたそうです(原文のままではなく私の意訳です)。

人間は老いや病、死など生きている中で大きな流れに身を任せるしかない小さな存在で、「運命を切り開く」ということはその流れに逆らうことなのかもしれない。

人に流されることもまた大きな流れに身を任せることと同じかもしれなく、例えば自分が思うより高い評価をいただいたときに「まだまだです」と謙遜するようなことは、その流れに逆らう自分勝手な生き方なのかもしれない。

人から評価されたことは、良くても悪くてもただ「わかりました」と受け入れることも一つの正しい生き方なのではないか。

学校に通う中、企業で働く中、そして友達と付き合う中など私たちは日常のあらゆる面で何らかの「評価」を受けていると思います。

その評価が自己評価と違うと、反発したくなったり謙遜したくなったり私はしてしまいます。

でも評価をする相手は、その相手の目線から評価しているのであってそれは一つの真実として素直に受け入れるのも良い生き方なんだなと感じました。

もちろんだからと言ってそれが理不尽であっても、耐えて生きていくなんてことではありませんが、評価を否定すること、あるいは評価をそのまま受け入れることのどちらを選ぶかは自分次第であることを意識したいです。

自分が売りたいものをただ売っても人には喜ばれない

筆者がコンサル・講師業で起業をする中で、当初はコーチングやコミュニケーションなどの題材をセミナーとして売り込もうとしていたそうです。

元々筆者は、とある経緯で会社員時代にマグロ船に乗ることになり、そのときにその船の船長を見て学んだことに触発されて、コーチングやコミュニケーションに興味を持ったそうなのですが、セミナーでコーチングやコミュニケーションの話をしても聴衆の反応は全然良くなく、小ネタとして話すマグロ船の話にしか興味を持ってもらえなかったそうです。

そんな中で、とある伝手でマグロ船の経験を全面に押し出した研修の講師をすることになり、その研修が大盛り上がりで大成功に終わったことから、筆者はこんな風に気づいたことを述べています。

全ての商売に共通する話だと思いますが、こっちがいくら「売りたい!」と息巻いても、お客様がお金を出してくれないとどうにもなりません。

受講者が(小ネタで話した)マグロ船の質問をしてくるということは、お客様は「マグロ船の話を聞きたい」と欲していたのです。

私はそんなお客様の要望を完全に無視して、自分の売りたいもの(コーチングなど)を売ろうと一生懸命だったので、空回りをしていたのだと思います。

コミュニケーションの基本でもあると思いますが、私も相手の聞きたいことではなくて自分の話したいことを話して満足になってしまうみたいな経験は身に覚えがあります。(この読書記録も自分の話したいことを話すためにやっているようなものです)

ですが、相手の聞きたいことを一番大事にするというのが本来のことであって、そのためにもまずは相手の反応をしっかり見ることを大事にしたいと思いました。

自己啓発から教わることはない

現在人材コンサル・講師業など現在はある意味自己啓発を仕事にしている筆者ですが、同時に「自己啓発セミナーに教わりに行かない方がいい」とも、本のまとめとして述べています。

これは教えていること自体が悪いというわけではなく、自己啓発で教えている全てのことは多かれ少なかれその講師の勝ちパターンであり、自分自身に合う方法かどうかは全く別の問題だからということだそうです。

だからこそ自分に合っているか、合っていないかの視点が重要で、「教わりに行く」のではなく」自分に合ったことを学び取りにいく」ことが自己啓発では大事だとおっしゃっています。

自己啓発を読んで、でもそこに書いてあることが実践できなくて自分を責める方は私を含め少なくないのではないかと思いますが、自分に合ったことがなければ何も実践できなくても構わないくらいの気持ちでいたいと思いました。

最後に

近所の古本屋を見ていて、何気なく手に取った本でしたが、読み終えて自分にとって励まされるような本でした。繰り返し筆者は自分に合った戦略を取ろうということを述べています。

合わないことは合わないと切り捨て、流れに身を任せることを厭わない強さをちょっとでも身につけられるようになりたいです。

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